日本弁護士連合会は、2009年8月「市民のための弁護士報酬ガイド」を公表しました。弁護士へのご依頼を考える際の目安となりますので、離婚の部分(同書4頁目)を引用しております。日本弁護士連合会のホームページにも掲載されておりますので、ご参照下さい。なお、金額は消費税を含まずに表示されています。
https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/cost/legal_aid.html
【以下引用】
事案
夫の暴力などに耐えられないので離婚したい。3歳の子どもが1人いるが自分が引き取りたい。慰謝料として200万円を請求した。離婚が成立し、慰謝料200万円の支払いを受けた。子どもの親権も得た上で、養育費として毎月3万円の支払を受けることになった。
離婚調停
- 着手金
20万円…45%
30万円…42% - 報酬金
30万円…40%
20万円…30%
調停不調で訴訟
- 着手金
10万円…43%
0万円…26% - 報酬金
30万円…36%
20万円…20%
訴訟から受任
- 着手金
30万円…53%
20万円…26% - 報酬金
30万円…37%
20万円…20%
【引用終了】
解説
弁護士として依頼を受けることが多い、典型的な離婚事案を想定したアンケートです。
離婚調停の着手金相場は、20~30万円(税別)程度が相場であると言えそうです。但し、離婚調停には婚姻費用の請求調停や子どもの面会交流調停など、他の調停が付随する場合が多いため、それらの費用を含めた場合には、着手金を30万円(税別)程度に設定する弁護士が多いのではないかと思います。
「調停不調で訴訟」とは、弁護士が離婚調停の段階から受任していたものの、離婚調停で離婚することができず、離婚訴訟に移行した場合を指しています。この場合、追加の着手金を請求しない弁護士も一定数いるようです。次に述べる「訴訟から受任」の場合には、半数以上の弁護士が着手金を30万円(税別)程度に設定しているところを見ると、離婚調停の着手金を20万円(税別)程度に設定した弁護士は、離婚訴訟へ移行するときに追加で10万円(税別)程度の着手金を設定することが多く、離婚調停の着手金を30万円(税別)程度に設定した弁護士は、離婚訴訟へ移行するときに追加の着手金を設定していないのではないかと考えられます。
「訴訟から受任」とは、離婚調停の段階では弁護士が依頼を受けておらず、離婚訴訟の段階で弁護士が初めて受任した場合を指しています。離婚訴訟は、離婚調停に比べて、当事者本人による対応が難しく、法律的に厳密な主張や反論が必要となるため、弁護士の負担も大きいことから、離婚調停よりも多めの着手金30万円(税別)程度の着手金を設定する弁護士が多いのではないかと思われます。
報酬金については、慰謝料200万円の10~16%に、毎月3万円の養育費を確保できたことを加味し、30万円(税別)程度と設定する弁護士が多いのではないかと思われます。